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積山 薫 教授

積山 薫 教授

脳の可塑性研究から認知症予防をめざして

sekiyama.jpg 熊本大学文学部認知心理学研究室の積山薫(せきやま・かおる)教授の研究チームは、健常高齢者において速く歩ける人ほど記憶力が優れることを、視覚ワーキングメモリという短期的な記憶に関して明らかにしました。この成果は、ドイツの脳科学雑誌エクスペリメンタル・ブレイン・リサーチ誌オンライン版に2014年3月16日に掲載され、西日本新聞(同年4月10日)、熊本日日新聞(同年4月16日)にも取り上げられました。

 今回の研究は、認知症や運動障害のない高齢者を対象としておこなわれました。ワーキングメモリは、高齢者では急速に低下することが知られており、その低下度合と運動能力との関連については、これまであまり詳しく調べられていませんでした。

 積山教授らのチームでは、ワーキングメモリの種類に着目し、これまでもよく使われてきた文字を記憶する音韻ワーキングメモリに加え、人の顔を記憶する顔ワーキングメモリ、場所を記憶する空間ワーキングメモリを用い、歩行能力との関連について調べました。その結果、顔・空間ワーキングメモリでは歩行速度との強い相関が確認されました。このような強い結びつきは、音韻ワーキングメモリでは見られませんでした。積山教授らは、視覚ワーキングメモリに伴う脳活動が、歩行に必要な脳活動―見た世界に対してどのように足を踏み出すかを計算する脳のプロセスーと共通部分が大きいためではないかと考えています。

 今回の研究では、歩行速度のほかに手先の器用さも測定しました。その結果、視覚ワーキングメモリ成績と運動能力との強い相関は、手先の器用さでは見られず歩行に限られることが分かったのです。このことから、早足での歩行ができる運動制御能力を維持することで、ワーキングメモリの低下を抑制できる可能性が考えられます。

 これまで、積山教授は、逆さめがねを1か月以上かけ続けると人間の脳がどのように適応するか、育った母語の環境によって音声知覚の仕組みがどのように異なるか、などの認知のメカニズムの可塑性について多くの基礎研究を発表してきました。最近、日本社会の高齢化の問題を目の当たりにして、認知症の予防につながるような研究をめざしたプロジェクトを立ち上げられたそうです。これまでの認知の可塑性研究では、人間が環境に適応するありさまが明らかになりました。今後は、そうした人間の持つ可塑性を、高齢者の認知機能維持にどのように活かせるかを明らかにしていくということです。

» 熊本大学プレスリリース




   新聞の掲載記事をPDF形式でご覧いただけます。

 音声認識メカニズムに興味  【掲載年月日:2010年4月19日(319KB)】

 速足の高齢者 高い記憶力  【掲載年月日:2014年4月16日(1,283KB)】

   ※熊本日日新聞社提供

 

 

積山 薫 教授
熊本大学文学部 総合人間学科
» 研究内容等の詳細についてはこちらをご覧ください

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